私の訪ねた都電の保存車・フォトギャラリー



私の訪ねた都電の保存車

 都電と聞いて平静でいられない私のこと、1988年に東品川公園の2012号を訪ねて行ったことがあるが、私の訪ねた翌年に解体された。私が見た時すでに窓ガラスは割られ板でふさがれていて、塗装も剥がれ、まるで都電の悲鳴が聞こえてくるような有様であった。

 さて都電の保存車のある場所だが、鉄道友の会の会報“ RAILFAN”555「別冊:保存車・廃車体一覧3」に詳しい調査結果が載っているのでそちらを参照してほしい。ここでは 私が実際に現地に行ったもののみ紹介する。

◎2000形2011号(大田区立大森第五小学校)

 校庭の片隅に置かれており、車体のみで台車はないが状態は比較的良好である。塗装は塗り直されていてクリーム色に青帯とかつての横浜市電のようだ(クリーム色も本来のものと異なりかなり白っぽい色)。なお、学校敷地内のため見学するには許可が必要である(99年上期に解体)。

◎4200形レプリカ(千葉県野田市、「君の名は」オープンセット)

 NHKテレビのドラマ「君の名は」の舞台となった終戦直後の銀座・数寄屋橋周辺を再現したオープンセットが、千葉県・野田市で公開されていた。省線のガードから日劇、朝日新聞社、そして数寄屋橋を渡ったところの交番あたりまでを再現したセットの中心的存在となるのは、やはり都電ということになろう。ここに甦ったのは木造の4200形4231号で、現車が存在しない今となっては貴重なものと言える。セットの大道具なのでよく見ると、ゴムタイヤの車輪や塗色が違うこと(実際は窓上も緑色だった)、レールの形状など不満もあるが、むしろよくここまで実感を出していると言うべきだろう。撮影は主に夜間行われるので、昼間に一般公開しているわけであるが、撮影中は見学できなかった。このオープンセット、地元ではちょっとした観光名所になっていたようだ。場所は、野田市南部の国道16号線沿いにあった。

公開期間:平成3年夏頃〜平成4年1月15日まで
公開時間:10:00〜16:00
場  所 :「君の名は」オープンセット見学コース
     千葉県野田市上三ヶ尾227(東武野田線運河駅よりタクシー10分)
入場料 :300円

◎5000形レプリカ(新宿区、新宿歴史博物館)

  平成元年(1989)1月29日(日)新宿区に歴史博物館がオープンした。その名のとおり新宿区の今昔を展示しているが、その中でも「昭和初期の新宿」のコーナーに注目したい。都電11・12系統で使用されていた5000形が昭和10年当時の仕様で展示されている。と言っても、復元されたカットモデル(車体半分しかない)ではあるが。車番は5001となっている。実際の車輛は廃車された後幼稚園?に引取られたが、結局(痛みがひどく?)解体された。しかし、部品の一部は所蔵していたらしく、都交通局の部品も合せ使われ復元されたとのことである。復元車とはいえ実車の雰囲気をよくつかんでおり、「新宿驛前」の安全地帯とあいまってまさしく昭和10年の新宿駅前を再現している。また、「新宿盛り場地図(昭和10年頃)」には市電新宿車庫や京王電軌の新宿追分ターミナルが付近の詳細な配線図とともに描かれており見逃せない。
 映画「ハチ公物語」や「帝都物語」で3000形が復元されたが、それに続いての今回の復元は都電の保存車は荒果てたものが多いだけに貴重なものである。
 なお、同博物館はJR四ッ谷駅下車徒歩8分の所にある。
初出:鉄道友の会東京支部日曜サークル機関誌休日運転bP09(89.2.19)

◎6000形6029号前部(墨田区錦糸町4−1−7、花見ずし)
 寿司屋の店先にはめ込まれるようにある。ナンバーは873号と書かれているがこれは「花見」(ハナミ)のことだろう(平成9年に撤去され、現存しない)。

◎6000形6063号(文京区、神明都電車庫跡公園)
案内板の記載
H3.10.10
都電客車の由来
 ここに展示された都電は客車6000型といわれる形式で昭和22年に1号車(6001号)が誕生し、昭和28年までに289(注:290の誤り)両が製造され、都内全域にわたり活躍しました。
 ここにある6063号は、昭和24年3月に63番目に製造されたものです。活躍の第1号は昭和24年3月19日から青山車庫管内の路絡(注:路線?)を走行し、それから大久保、南千住車庫管内に移り、昭和42年9月(注:空欄)日からは、神明町車庫管内を走行し、昭和45年12月28日荒川車庫管内に移籍し、昭和53年4月27日まで約29年間活躍し、廃車となりました。

◎6000形6162号(豊島区南大塚2丁目、大塚南公園)

 ヘッドライトや方向幕はないものの、ガラスが割られていないだけ幸いとしなければならないだろう。塗装は塗り直され、これも何故か「横浜市電色」になっている。車内の見学も可能。なお、詳しくは、拙稿「僕の名前は都電6162」を参照してほしい。

◎6000形6191号(府中市矢崎、府中市健康センター内交通公園)

 荒川線でワンマン化まで使われた車輛である。これもナンバーが実際と異なり4154と書かれている。「よい子よ」かも知れない。公園管理者の願いが通じてか今ところ比較的良好な状態だが、いつ「悪い子」によって荒らされるかわからない。

◎7000形7006号(更新)(江東区東雲、都交通局研修所)

 都電荒川線の主力7000形7006号は、非冷房のまま1991年廃車となった。同車は、江東区東雲にある都交通局研修所で職員の教習用として使われている。車体半分のところでカットされ、塗色は冷房車のカラーに塗り替えられている。

◎7000形7011号(更新)(千葉県市川市、都営地下鉄換気塔脇)

 こちらも非冷房のまま1991年廃車となった。都営地下鉄新宿線の本八幡〜篠崎間にある地上換気塔脇に保存されている。柵で囲まれているが、なかなか状態はよい。

◎7500形7508号(板橋区大山西町21、板橋交通公園)

 ここに紹介する中では最も保存状態が良く、痛みが全くと言っていいほど見られない。日中だけ公開し、夜は保存場所に鍵を掛けて閉鎖しているからだろう。

◎7500形7514号(荒川区、都電荒川車庫)

 昭和53年の荒川線ワンマン化で廃車となって以来、荒川車庫内で倉庫代わりに使われてきた7514号は、屋外に置かれていたため塗装の痛みがひどくなっていた。平成3年(1991)の10月頃リペイントされ、一旦は美しい姿を取戻したが、年月の経過により再び色褪せてきた。外観上は排障器が外され、塗装もかなり痛んでいる。車庫内のため、見学には許可が必要。6152号とともに、ワンマン化前の都電の姿を残す貴重な車輛である(99年10月16日より小金井市の江戸東京たてもの園にて展示中)。

◎8000形8125号(埼玉県越谷市南越谷三丁目、児童図書館)

 昭和46年3月に廃車になった都電8125号の車体が、埼玉県越谷市南越谷三丁目の児童図書館として今も使われている。塗装は色あせ、屋根はトタン板で覆われているが、廃車後20年を経過している割には往時の姿をよくとどめている。都電8000形としては千葉県八千代市の8059とこの8125が現存するだけである。 場所は東武伊勢崎線の新越谷駅下車、新越谷病院近くの住宅街にある(MITAlineさんによると、今は図書館としての使命を終え、撤去の日を待っている状況とのこと)。

●以上が私の実車レポートだが、注意しなければならないのは撮影した時点における様子を述べたにすぎないということである。日一日と状態が悪くなりつつある保存車輛たちのことだから、お目当ての車輛があるならばとにかく現地へ行ってみることである。いつ解体されるかわからないのだから。


保存車・廃車体リスト

整理番号 ジャンル 会社名(活躍していた当時の) 形式・車号 撮影場所(最寄り駅からの交通) 当初調査年月日 20〜150字の解説
1 路面電車 東京都交通局 2011 大田区:区立大森第五小学校 1989/5/9 都電杉並線で使用後、都心部に転属した後廃車になった車両で、台車はなく、車体だけの展示である。状態はなかなかよいが、なぜか青帯の塗色である。※99年上期に解体。
2 路面電車 東京都交通局 2012 品川区 東品川公園 1989/4/25 杉並線廃止後、改軌され都心部でも走った。ボロボロになって置かれていたが、平成2年2月頃解体され、今ではマスコンだけがモニュメントとして残る。
3 路面電車 東京都交通局 5501 東京都交通局 荒川車庫 1992/3/1 PCCカーと呼ばれた都電の最優秀車で、廃車後は上野動物園西園の出口専用口近くにボロボロになって置かれていたのを引上げて整備したものである。
4 路面電車 東京都交通局 6029前部 墨田区:花見寿し(錦糸町駅北側ガード下) 1992/1/3 寿司屋の店先にはめ込まれるように置かれている。番号は店名にちなみ873(は・な・み)となっている。埃まみれでヘッドライトも壊れている。*平成9年に撤去され、現存しない。
5 路面電車 東京都交通局 6063 文京区:神明都電車庫跡公園(JR山手線駒込駅下車徒歩15分) 1991/7/14 都電の代表形式6000形で、昭和24年製造後、青山、大久保、南千住、神明町、荒川の各車庫に所属し53年4月廃車。高いフェンスに囲まれ、容易に近づくことはできないが、状態はそれほど悪くない。
6 路面電車 東京都交通局 6080 北区:飛鳥山公園 1988/1/1 昭和53年のワンマン化まで荒川線で使われた車両である。以前は車内も公開していたが、現在では鍵がかけられ内部に入ることはできない。
7 路面電車 東京都交通局 6152 東京都交通局 荒川車庫 1987/9/23 都電6000型は昭和53年4月のワンマン化の際引退したが、応急車としてただ1両在籍している貴重な車両である。昭和62年9月に「都電ギャラリー'87」でイベント車両として現役復活した。
8 路面電車 東京都交通局 6162 豊島区南大塚2丁目:大塚南公園(JR山手線大塚駅徒歩5分) 1992/4/4 昭和24年製で、青山・大久保・荒川・錦糸堀車庫に配属された。昭和46年に廃車となり当地にやってきた。方向幕が埋め込まれている。この公園は、大塚車庫跡裏手にある。
9 路面電車 東京都交通局 6191 府中市:市立交通公園 1991/12/15 昭和53年の荒川線ワンマン化まで使われた車両で、以前は「よい子よ」をもじって4154とナンバーが書かれていたが、現在は標記は消されている。
10 路面電車 東京都交通局 7006カットボディー 江東区:東京都交通局職員研修所 1991/12/10 非冷房のまま廃車となったが、車体を半分に切断のうえ、塗色を冷房車カラーに塗り替え、職員の教習に利用している。屋内にあるため状態は非常によい。
11 路面電車 東京都交通局 7011 千葉県市川市大和田:都営地下鉄換気塔脇 1991/12/15 荒川線で使われていた7000形のうち、非冷房のまま廃車になった車両。高いフェンスに囲まれているが、保存状態はよい。
12 路面電車 東京都交通局 7012 東京都交通局・荒川車庫 1998/8/21 S52〜53年に車体を載せ換えた都電7000形のうち、最後まで非冷房のまま廃車となった車両で、荒川電車営業所旧庁舎跡地につくられる展示場で公開予定。
13 路面電車 東京都交通局 7502 大田区:萩中公園(ガラクタ公園) 1991/7/14 昭和61年に廃車後当公園に保存されたが、窓ガラスや主要部品がほとんどなくなり、まさにガラクタになってしまったようだ。
14 路面電車 東京都交通局 7508 板橋区:板橋交通公園 1991/12/23 荒川線の初代ワンマンカーで、昭和61年に廃車となった。塗装がやや色褪せてきているが、日中だけ公開し夜は閉鎖しているため、状態もまずまずである。
15 路面電車 東京都交通局 7514 東京都交通局 荒川車庫 1988/12/3 昭和53年のワンマン化まで使われ、原型のまま廃車となり、以後車庫の片隅に置かれている。※99年10月16日より小金井市の江戸東京たてもの園にて展示中。
16 路面電車 東京都交通局 8053 千葉県八千代市村上 茶房“あしたの虹”跡 1992/10/26 都電8000形の現存例として貴重な存在だが、状態はかなり悪い。喫茶店として使われたが、現在では物置きになっているようだ。
17 路面電車 東京都交通局 8125 埼玉県越谷市南越谷3丁目児童図書館 1991/10/20 住宅街の中に車体のみ置かれ、トタン屋根が被さっている。オリジナル塗装も年月の割にはよく残っている。※MITAlineさんによると、今は図書館としての使命を終え、撤去の日を待っている状況とのこと。
18 路面電車 東京都交通局 乙2 文京区:神明都電車庫跡公園(JR山手線駒込駅下車徒歩15分) 1991/7/14 自家用貨車として昭和16年乙10型より改造。軌道敷の砕石を輸送、野菜、魚介類などの食料品の輸送も行った。昭和46年3月20日荒川車庫で廃車。都電の電動無蓋貨車で、現存するのはこの1両と貴重な存在である。ビューゲルが外されて荷台の上に置かれている。
19 バス 東京都交通局 E-D460(小滝橋) 大田区:萩中公園(京急空港線大鳥居駅下車徒歩5分) 1989/5/8 小滝橋車庫所属だった都バス。古いバスの形態を今に残す点で貴重な存在と言えるが、状態が悪すぎる。部品類は窓ガラスも含め全てなくなっている。当初は現役当時の塗色をとどめていたが、塗り直されたためオリジナルカラーは失われた。
20 バス 東京都交通局 G-C457(大塚) 板橋区:板橋交通公園(東武東上線大山駅下車徒歩10分) 1989/5/16 大塚車庫所属だった都バス。こちらは状態は良好である。部品類もよく残り、現役当時の姿をとどめている。
22 バス 東京都交通局 G -C458(大塚) 板橋区:城北公園(都営三田線蓮根駅下車徒歩5分) 1989/11/12 大塚車庫所属だった都バス。状態は悪くなかったはずだが、D-K458(杉並)に置き換えられて現存しない。
22 バス 東京都交通局 D -K458(杉並) 板橋区:城北公園(都営三田線蓮根駅下車徒歩5分) 1992/5/26 方向幕に「王78」が入っていることから杉並車庫所属の車と考えられる。ボディーにイラストが描かれている。この場所には以前G-C458(大塚)が展示されていた。
23 バス 東京都交通局 都バス(所属、番号不明) 葛飾区:新宿交通公園(JR常磐線金町駅下車徒歩15分) 1992/3/6 表記が消えてしまっており詳細は不明。美濃部カラーと呼ばれるブルーの塗色を今に伝える貴重な存在。残念なことに部品がほとんど失われる等状態は悪い。


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