
トロッコは少年の夢を乗せて・フォトギャラリー
トロッコは少年の夢を乗せて
池袋から東武東上線の急行で約1時間、高坂駅から鳩山ニュータウン行きのバスで約10分のニュータウン中央で下車する。バス停前の西友ストアーの脇を入り、5分ほど歩くと“かえでの辻”という広場に出る。ここを左へ折れるとやがて“銀河鉄道”と書かれた立看板が見えてくる。矢印の方向に沿って行くと、鳩山町民体育館の手前に急な階段がある。ここが宮沢賢治の“銀河鉄道の夜”と松本零士の“銀河鉄道999”をイメージして作られたというトロッコ公園の入口である。
階段を上り、右折すると前方に銀河ステーションが現れる。ホームには栃木県の駒形石灰工業で使われていた加藤製作所製のガソリン機関車とトロッコ4両、木曽森林鉄道の運材台車2両が置かれている。機関車のゲージは610oだが、続くトロッコは 610o、 508o、運材台車は 762o(実測値は多少誤差あり)とバラバラで、別々の場所で使われていたものを寄せ集めてきたことを窺わせる。塗色も機関車がグレー・白・オレンジの塗り分け、トロッコがオレンジ・白・黒、運材台車が緑ととてもカラフルである。また、トロッコ公園の由来を書いた説明板も設置されている。トロッコ大好き少年だった馬場隆君は全国のトロッコの記録を作るため旅を続けていたが、列車から落ちて亡くなってしまった。彼の夢をかなえるためにこの公園は作られたのだと…。
前方を見ると、レールが林道に向かってカーブしており、銀河鉄道の旅の始まりをイメージしている。これから林道を歩いていくが、レールが敷いてあるわけではないので想像の中で列車を走らせることになる。林道の所々には方向や距離を示す標識があり、踏切を模した箇所もあった。途中には白鳥のステーション、鷲の停車場という2つの中間駅があるが、車両はなく、ホームと短いレールが敷いてあるだけだ。木々の隙間から右方を見下すと、同じ形をした建売り住宅が無数に並んでいるのが見え、ニュータウンであることを感じさせる。まるでTOMIXの“近郊住宅”を敷きつめたようだ。森林浴気分でさらに進む。せっかく立っている道案内の標識が壊されているのに腹を立てていると、雑草がだんだん生い茂ってきて歩きづらくなった。突然現れた急な階段を降りたところが天の川ステーション。銀河ステーションを起点に999mを歩いたことになる。
ここには宮城県の細倉鉱山で使用されていたバッテリー機関車とトロッコ3両が展示されている。ゲージは機関車が 610o、トロッコが 508oとやはり異なっていた。こちらの機関車も銀河ステーションの機関車と同じ塗色で斜めストライプ模様が入っているがオリジナルの塗色ではなさそうだ。機関車の銘板を見ると、“日本輸送機株式會社・昭和44年9月製”とあり製造番号は3847003であった。この先2本のレールは天高く舞い上がりやがて空のかなたで一点になり消える…という設定らしい。
“銀河鉄道の夜”はジョバンニとカムパネルラの心暖まる優しい物語、あわよくば人を陥れてやろうなどと決して考えることのない素朴な心を描いている。現代には失われてしまったものを想い出すために、宮澤賢治の文庫本を片手に出かけてみてはいかがだろうか。
初出:鉄道友の会東京支部日曜サークル機関誌「休日運転」bP65(93.10.17)
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